あなたに出会えて

逃亡


 教室が見えてきた。私の祈りは神様に届かず、教室からは授業中にもかかわらず、ガヤガヤと音がした。

「はぁ。」

 無意識にため息が出る。

 教室の近くまで行ったものの、足がすくむ。

 近寄っちゃいけない。近寄ったなら、また何かされる。

 そう思うと、崖の淵に立ったかのように、足が一歩も出なくなった。

 その時だった。
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