そのプレゼント、プライスレス
*そのプレゼント、プライスレス

――たぶん、俺は最低の男の部類だと思う。





「マジでごめんね」



――7月26日


俺は、目の前の小さい人に謝っていた。

いつの間にか、最後に逢ってから一ヶ月も経っていた。

いつものマック。

まともに出掛けることも出来ないのも申し訳ない。



「いいよ、べつに」


彼女はあっけらかんと笑う。

毎度のことながら、この人の心の広さには驚かされる。



――俺は、彼女の誕生日を忘れていた。


受験生になって、毎日勉強に追われていて、なんていうのは言い訳だが、本当にすっかり忘れていた。


もう知り合って二年目だというのに。


よりにもよって、好きな女の子の誕生日を忘れてしまった。いや、正確には、確認し忘れていたんだけど。



友達にそのことを話したら、お前は最低だと罵られた。

……返す言葉もございません。



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