農園の食卓
ブラシが入れられた栗色の髪が流れてひかり。

薄い唇はきれいな弧を描いて微笑を作っている。

泥が落とされた顔には化粧が施されて柔らかさを取り戻している。

そして胸。

だがなんと言っても目だった。

人々をやさしく見守るような穏やかな黒い瞳。

「いつも、かわいいわねぇ~」

奥から食堂の女主人が現れて。

小さな泣きぼくろを書き足してやっている。「これで完璧だわ」

「テーブルに行きましょう」ドクターが言った。

「ドクター約束どおり、連れてきたですよ」

驚いたことに彼女は普通に歩いた。

見違えるようだ。

「ね、普通でしょ?なぜ夕方からああなるのか、私にもわからないんですよ」

ドクターがどこか誇らしげに言う。

「こんにちは、ドクターいつもお世話になってます」

ミィ~の声は擦れている。

出力はたぶん最大なのだろう。

それでも小声のようにしか聞こえない。

僕はもう疑わなかった、Ⅳ型は笑わないし喋らない。だが確信がほしい。

「一つだけ、テストさせていただけませんか」

頭の中で何かが組みあがってゆく、開拓史概論の序説だ、思い出せ。
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