好きと言えない。―悪魔と恋―【完】
どうして、あの時に言えなかったんだろう。

あの時に言えてたら、“おかえり”って、歩斗と仲良く過ごせたかも知れないのに。



「着きましたよ。3千…」



「お釣はいりません…。ありがとうございました…」



5千円札を渡し、玄関の鍵を開けた。



「ひまわり?おい、ひまわり!」



柊お兄ちゃんの声も無視して、2階へと駆け上がった。

部屋に飛び込み、やっと大声を出せて泣けた。

あっという間に、失恋しちゃった。

浮かれてたせいか。

私がガキだったからか。

理由がもうわからない。

全てが悪かった気がして。
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