『若恋』玲央の初恋【完】
さくらがいいんだ。
腕の中ではらはらと涙を流すさくらは白い花のようだった。
「俺はさくらを傷つけるだけの男かもしれねぇ」
さくらの赤くなった瞳が俺を見上げて揺れた。
「だけど、俺はおまえのそばにいたい」
「うそ、」
「ありのまんまの俺をさくらが見ていてくれるってだけでいい。俺はおまえのそばに居たい」
うるうると潤んだ瞳がおれの顔を見つめて、恐る恐る俺の胸のシャツを掴む。
「ホントに?」
「さくらがそばにいてくれたら、俺はきっと俺でいられる」
さくらのように真っ直ぐな気持ちでいられたらと、そう思う。
さくらのように強く折れない心を持っていたいと思う。
さくらを守りたいと思う…