ナツの夏
新幹線で一時間半弱、更に普通列車で一時間、ようやく石井ちゃん先生の実家の最寄り駅に着いた。
「父さんが迎えに来てくれてるはずなんだけど…」
「え?歩いていけないんですか?」
「そうよ、車で20分。田舎の"最寄り駅"を甘く見ちゃ駄目よ」
私は苦笑いをして先生の後をついていった。
だだっ広いタクシーロータリーには、数台しか止まっていない。
暇そうな運転手が談笑している。
タクシーに乗ってあげたほうがいいんじゃない?と先生に言いかけた時だった。
「瑠璃姉!」