ナツの夏
「まあ、気が向いたら来なさいな。フリーの女子同士、夏休みを楽しみましょうや」
石井ちゃん先生は背中を向けると、ヒラリと手を振って教室を出ていった。
「変な先生…」
でも、嫌いではなかった。
男勝りでガサツだけど、嘘が無くて真っ直ぐで、太陽みたいに明るい女性。
こういう気持ち、何て言うんだっけ。
ワクワク?ちょっと、違うかな。
「…バイト先に連絡しなきゃ」
切符を財布にしまい、私は教室を飛び出した。