everlasting love~幾星霜の果て
それは、ロマン派音楽の先駆けとも言われる作曲家、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの4楽章ピアノソナタ最後の曲。
特に、この第4楽章は何度も何度も、弾いた曲だ。
俺じゃなく、君が。
俺は君の隣で、君が弾きこなせるようになるまでつきっきりで何度も教えた。
“ねぇ、ジェルジュ”
2人でピアノの前に並んで座っていたあの頃の記憶が蘇る。
俺と君の、いちばん好きな曲。
それなのに君は……
完璧に弾きこなす前に、この曲を嫌いになり、憎しみさえも抱いてしまった。