喧嘩屋土門
「オッサンを襲ったあのゴロツキどもも、その雲竜の手下だってぇのかい?」

飯粒を口元につけながら、土門が麦飯にがっつく。

子供じゃないんだから、と向日葵が窘めるのも気にしない。

「物盗りするたぁ、ヤクザ者もシノギに難儀してるのかねぇ…侠客も堕ちたもんだねぇ」

「いやいや…ありゃあ土門さん、今思うに物盗り目的じゃないんじゃないかねぇ…」

中年男は腕を組んで考え込む。

「だってそうだろ?商人の私から金なり品物なりを奪うんなら、通りを歩いている時より店に忍び込む方がいいってもんだ。あれだけの人数がいれば、畜生働き(一家皆殺しの盗賊行為の事)だって造作もない。まさか親方殺すほどの雲竜が、畜生働きを恐れた訳でもないだろう?」

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