天神学園大聖夜祭
お嬢様と遡雫と神埼 玲菜の場合(+ワン!と執事)
喧騒と歓声のパーティー会場。

その騒がしさの中、この一角だけは静寂と気品に満ちた空気が流れる。

極々小さく流れるのは、バイオリンの生演奏。

一流のバイオリニストを、この日の為だけにわざわざ呼び寄せたのだ。

そんな演奏の流れるテーブルで。

「前菜でございます」

二宮の手によって、直々に料理の皿が玲菜の前に置かれる。

「はっ、はいっ、どうもご丁寧にっ…」

こういう席は慣れていないのだろうか。

身を硬くしてガチガチになる玲菜。

その姿を見ながら。

「そんなに緊張なさらなくてもいいのよレーさん?全く庶民の方は、場慣れしてらっしゃらないのね」

同じように二宮の運んできた前菜の皿にフォークをすすめながら、お嬢様が笑った。

< 126 / 139 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop