花火が教えてくれた【企】
ココに居たいの。


「さくら?終わったよ?」

最後の花火から約30分。

さくらは俺にくっついたまま、一向に動かない。

「さくら?」

悪い気はしないけど…

さすがに心配になって声をかけてみても、やっぱり同じ。
動く気配もない。

別に泣いてるようにも寝ているようにも見えないし、ただ動かないだけだとは思うけど…。

「さくら?今日はどうするの?言わなきゃ解らないよ?」

そう言いながら頭を撫でる。
それでもさくらは何も言わない。

「さくらさーん?」

こんなさくら珍し過ぎる…。

おかげで、さっきまでの俺の余裕もだんだんと薄れてしまう。

…かと言って、無理にはがす気も起きないし。


どうしたもんか……?


「さくら?とりあえず何か飲む?中、入ろうか?」


……やっぱりだんまり?


「今日の為に、さくらの好きなお茶、わざわざ用意したんだぜ?」


……………これもダメか。


……てか、なんなら動くんだ?


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