LITTLE
 ドアを開けて、麗太君がリビングに入って来た。
 麗太君は周りを見回している。
 ママがいないからだろう。
「ママなら、高校の頃の友達に会うとか言って、出掛けて行ったよ」
 麗太君は頷いて、お菓子の入っている戸棚を開けたが、それを見て溜息を吐く様にして戸を閉めた。
「何かお菓子ある?」
 麗太君は首を横に振る。
「そっかぁ……」
「……」
 部屋の中が静まる。
 暇だ。
 お菓子はないし、誰かと遊ぶにしても近場のマミちゃんは日曜日は塾だし。
 本当に暇だ。
 ソファーから半身を少しだけ浮かして伸びをした時、テーブルの上のメモ用紙がチラッと見えた。
 それは、見てくださいとでも言わんばかりの位置に置いてある。
 そういえば麗太君は……
今度は冷蔵庫を物色している。
「見ちゃえ」
 ソファから体を起こしテーブルへ寄る。
 裏返しになっているメモ用紙を手に取り、書いてあるものを見た。
 丁寧に書かれた地図だ。
 おそらく、家の裏を真っ直ぐに進んだ小さな通りだろう。
 そこは大通りから大分離れていて、さらに特に立ち寄る目的もないので、そこには行った事がなかった。
 端の一軒に赤いペンで二重丸が記されている。
「どこだろう……ここ」
「麗太君、ちょっと来て」
 もしかしたら分かるかもしれないので、麗太君にも聞いてみる。
「ここ、どこだか分かる?」
 麗太君は常に携帯しているシャーペンで、メモ用紙にそれを書いた。
『駄菓子屋』
「え? 駄菓子屋?」
 麗太君は頷く。
< 56 / 127 >

この作品をシェア

pagetop