彼×私×彼女の事情


「青山樹里様〜」

仕事にも精が出て声もいつもより明るくなる。

「ハーイ」


よく来てくれている患者さんの一人。樹里ちゃんはいつもおとなしくて笑顔も可愛い。正直、こんな子が産まれきたら幸せがますだろうな。


「中耳炎はその後どうですか?」


「先生がもぅ、ほとんど綺麗だって。今回のお薬飲みきったらもう来なくていいって」


「本当によかったね。きちんとお薬続けてくれたからだよ。偉いね」


お母さんと顔を見合わせて嬉しそうに笑ってる姿が幸せオーラいっぱい。普段は妬みの一つでも思うが今日はまったくそんな気ゼロ。

「じゃ、この間のお薬と同じお薬です。3日分だけなので飲みきってくださいね」

お母さんがお薬を鞄に入れていると


「ねぇ」


「?」


「今度、ママ結婚するんだ」


「ちょっと」

お母さんが止めに入るが樹里ちゃんは嬉しそうにニコニコしている。


「スミマセン。お父さんができるのが嬉しいらしくて」


「おめでとうございます。何も迷惑かけないで謝らないで下さい。よかったね樹里ちゃん」


「うん」


今日の私は素直におめでとうって言える。


自分が幸せだと相手にも優しくできる。


俊くんの力ってすごいな。早く会いたい。
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