絶対、逃がさない!(短編)
 朝からうっとうしい雨が降り続いて、制服クリーニングに出すのはいやだから電車でいけと・・・勝手な母親に命令されて、今日は電車通学だ。

 朝と変わらず、帰りの電車も混んでいる。

 入り口付近で、クラスのやつらと話しているとふっとなにかを感じた。

 

 おれには、陽菜をみつけるセンサーでもついているのだろうか?

 時々、そう思う。



 陽菜はおれたちがいるのとは別の、出入り口にいた。

 手すりにつかまって、ぼんやりと外を見ていた。


 無防備にぼ~ッとたっているなんて、痴漢でもよってきたら、どうするんだよ。

 どんどん車内は混んできているし、もっと警戒しろ!



 そう思いながらついきついまなざしで陽菜をみていると、視線に気がついた。



 おれのほうをみて、すぐに視線をそらす。



 ・・・なんだよ、その反応。



 ほんと、むかつく。

 おれをみると、化け物を見つけたみたいな、顔しやがって。

 おれだって、いつまでも、いじめっ子じゃないんだぞ。


 

 

 
 
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