『若恋』榊の恋【完】



触れたいと思うのに、震える肩を見たらそれもできない。



「行きましょう」

「はい」



二階から一階まで滑り降り正面を押さえていた前広から車の鍵を受け取った。


「ひかるさんよかった!」

「前広、借りて行きますよ」

「どうぞ」




正面にある前広の車の助手席にひかるちゃんを乗せて発進させた。



「ひかるちゃん、痛むところはないですか?」

彼女は首を横に振った。


「ひかるちゃん??」



いきなりひかるちゃんが泣きながら抱きついた。


「……榊さんが、無事でよかった…」


抱きつかれた瞬間に心臓がギュッと縮まった。


「…榊さんが、死んじゃったら…わたしも…死ぬんだから…」



ドクン


「…死ぬ時は…わたしも…一緒なんだから…」



ドクンドクン



「…榊さんが死ぬ時は…」






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