『若恋』榊の恋【完】




一也が自分を揺らいだ瞳で振り向いた。

一也の傍らに立っているのを見つめているのに気づいて戸惑いの表情を見せた。
ひかるがベットに横にさせるまで一也と視線は絡んだままだった。



「大したことないのにな」

「検査もまだなのに動いたらダメだよ」

「そうですよ。無理をするほどひかるが心配するんです」


何気ないひとことを告げると、ひかるは気づかなかったが一也が硬直して目を剥いた。


「わたしだけじゃなくて、みんなが心配するよ。さあ、体を休めて。さっき見えたけど、すごい痣…」

「こんなのは2、3日もすれば消えるけど」

少し上擦った声で言い、ひかるを見てそしてこっちを向いた。


明らかにまだひかるを想っている。

一也のその目に確信する。



あのうぐいすの宿から戻ってきた朝に一也がひかるに告白すると告げていたが、ひかるの態度からは一也が告白したとは思えなかった。



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