『若恋』榊の恋【完】



「シャワー浴びたら、また診せてくれりゃいい」

成田は酷い傷を負ってはいないのを確かめて緊張を解いている。



パタパタ
パタパタ

りおさんがひかると話をした後に目の前に来た。


「榊さん、ひかるを守ってくれてありがとう」

「すいません。ひかるに傷を負わせてしまいました」

「ううん。ひかるを守ってくれたわ。ありがとう」

「りおさん。りおさんから頂いた青龍の御守りが割れて、」

「いいの。ひかるが無事なら。それで」


にこっ。

可愛らしく小首を傾げて見上げてくるりおさんに頭を下げる。


「ひかるの腕の傷くらいなんとも思わないから。顔なら別だけどね」

ぺろりと小さく舌を出してりおさんは笑った。


りおさんも若を守るために傷を負ったことがあるが、折れた腕や曲がったままの指を気にかけた素振りは見せなかった。


「りおさんには敵いませんね」

「何が?」

「姉妹そろってとても強いです」

「ええ?そう?」

「そうですよ」



< 313 / 440 >

この作品をシェア

pagetop