『若恋』榊の恋【完】


「本気じゃないなら離れろと?ひかるちゃんを突き放せと?」


「守れもしない付き合いならはじめからしない方がいいって言ってんだ」


「………」



仁が言いたいことは理解した。


ひかるちゃんをあくまでも突っぱねればよかっただろう。


そう言っている。






「―――わかった」



「榊、」


「ひかるちゃんと別れる」


「さかき、」


「ひかるちゃんと別れる」




きっとひかるちゃんは俺でなくても、すぐにいい男が見つかる。


だからいい。




「榊、本当にそれでいいのか?」


「いいですよ」


「ホントにいいんだな?」


「いいんですよ」




自分の気持ちに向き合った途端のひかるちゃんとの別れだった。


仁に眠るひかるちゃんを託して後ろ手にそっとドアを閉めた。





―――さよなら、ひかるちゃん








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