蝉時雨
「おお、菜々子じゃないか!!
いらっしゃい」
リビングの扉を開けると、
その奥の和室から
おじちゃんがひょこっと顔を出す。
「おじちゃん、おはよう。
これママから!!
いつもお世話になってます」
「いやいや、こちらこそ」
持ってきた紙袋を軽く掲げて見せて
おじちゃんと二人で改まってお辞儀を
し合っているところへ、
キッチンにいた典子おばちゃんがやってきた。
「もう、和佳ちゃんたら。
こんなのいいのに」
運ばれてきたおぼんの上のグラスの氷が
カラン、と涼しげな音をたてる 。