愛し方を知らない少女の歪んだ愛
そんなとき、わたしの脳裏に昨日のメールが浮かんだ。

そういえば、昨日のメールの相手は誰だったのだろう。
お兄ちゃんに聞きたいが、それではわたしが無断で携帯を見たことが知られてしまう。

でも、気になる。
きっと授業中も、ご飯を食べているときも、寝るときも、気になって仕方がなくなるだろう。

それならば、聞いた方が楽になれるのでは。

わたしはそう思い、目の前を行くお兄ちゃんの背中に呟いた。

「ねえ、昨日どこ行ってたの」

わたしはお兄ちゃんの体が震えたのを見た。
動揺している。
ということは、わたしに知られたくないところに行っていたのだろうか。

不安が募る。
わたしは手に汗を握りながら、言った。

「女の人のところだよね。お兄ちゃんには悪いけど、新しいメール着てたから見ちゃったの。家帰ってから、お兄ちゃんも見たよね」

いつのまにか、わたしたちの足は止まっていた。
わたしは返事を待っていたが、お兄ちゃんは何も言わなかった。
< 15 / 58 >

この作品をシェア

pagetop