愛し方を知らない少女の歪んだ愛
「もう、もっと早くに教えてよね! でもいいなぁ。青春してるなんて」
「いや、ちょっと訳があってな」
「ふぅん……あ、そういえばわたし日直だった! ごめん、お兄ちゃん。先行くね!」

わたしはそう言うと地面を強く蹴った。
ごちゃごちゃになった気持ちを振り払うかのように。

わたしは商店街に入ると、誰にも気付かれぬように裏路地に入り込んだ。
そして暗く湿った地面に腰をおろし、溜め息をついた。

日直なんて嘘。
だけどこれ以上お兄ちゃんといたら、笑顔が崩れてしまいそうだったから。

「……なんで」

もう限界。
涙はもうすぐそこまで迫ってきている。

「なんで、兄妹なのよぉ……」

何度も恨んだ。
兄妹という繋がりがなければ、どんなにわたしは楽だったかと。

何度も焦がれた。
一番近くにいるのに、一番遠い存在のお兄ちゃんを。

無駄だと分かっていても、恨んで、焦がれた。
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