愛し方を知らない少女の歪んだ愛
有希とは相性がいいらしく、すぐに仲良くなれた。
家のことや、中学のこと、色々なことを話した。

「へえ、じゃあ美沙好きな人いないの?」

成り行き的に恋の話になり、有希にそう聞かれたときは焦ってしまった。
いくら仲が良くなったからといって、兄が好きだなんて口が裂けても言えない。

だけど、独りでこの膨大な気持ちを抱えられるほど、わたしは強くなかった。

「……いる、よ」

相談する人くらい欲しかった。
そんな気持ちが爆発して、気付いたときには言葉にしていた。

「え? だれだれ? もしかして付き合ってたりするの?」

わたしの言葉に、有希が飢えた魚のように食いついてきた。
しまったと思ったときには、もう遅い。
だけど、言ってはいけないのだ。

わたしは今度こそ拳を握って、精一杯の笑顔で言った。

「ごめん、それは教えられないの」

有希が火が消えたように静かになったので、ちょっと悲しくなった。
わたしがもう一度ごめんと言うと、有希は別にいいのと首を振った。
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