炭坑の子供たち(1)
 午後5時から7時にかけて

湯船に入り切れない程、人でごった返すが

ちょっと色気が付き始め、恋に目覚めた高校生達は

湯船のふちに腰かけて、両足をお湯につけたまま

恋愛談義に花を咲かせている。

そして、もじもじしつつ、意を決して、好きな女子の名前を打ち明ける。

「俺は、大島の事が好きなんや」

その告白によって、何とか手助けをして貰おうとするが

案外、その相談相手も、同じ女の子を好きだったりして

恋の障害になれこそ、決して力にはなりはしない。

口では、味方みたいな事を言ってはいても

好きな女の子が、知らない誰かと付き合うのは許せても

友達が付き合うのは、絶対に許せないのだ。

そうとも知らず、散々悩みを聞いて貰い、晴れやかな気分で立ち上がると

その場にぶっ倒れてしまう。

恋に酔いしれる前に、風呂にのぼせて、酔ってしまったのだ。
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