炭坑の子供たち(1)

闘牛

 何組もいて、いつもいがみ合っているチーム同士が

時折り、一致団結して仲良くなる事があった。

それは、カマのおっさんが、グランドに農耕用の牛を引っ張って来て

頭が丸くなった鉄製のクイを、地面に打ち込み

それに牛をくくり付けようとした時である。

一斉にブーイングである。

「おいさん、とぼけるなよ」

「野球が出来んやないかっ」

それでも、カマのおっさんは、むっつりとしたまま、一言も喋らずに去って行く。

何故、カマのおっさんと呼ぶかと言うと

怒ると直ぐに、腰のベルトに差した草刈ガマを、本気で投げつけるからで

まだ、むっつりしている内は安全だが、ニヤリと笑った時が、危ないのである。


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