炭坑の子供たち(1)
 昼食の時に、時たま食べる、未だ出たての即席ラーメンは

珍しさも手伝って、子供達の大好物であった。

マルタイやミツハの棒ラーメンで

ミツハの方が、値段が安かったせいもあって

もっぱら、ミツハの方ばかり食べていたが

ペースト状のスープの素は、絶品であった。

そのラーメンを食べている横の壁には

富山の薬売りが置いて行った、食べ合わせの物を書いた絵が、貼ってあり

どの家でもそうであったが

いつ貼ったのか、ススけている上に、破れかかっていた。

スイカと天ぷら、かき氷と天ぷら、うなぎと梅干し、牛肉とほうれん草

など、今では、信じ難いものばかりである。

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