月下の踊り子



☆間奏☆



「今まで本当にありがとう舞歌」



もう何も見えない闇の世界でその言葉を聞いた。


私は安堵の息を漏らす。


この世界に私の生の意味はあったんだ。


必要とされていたんだ。


それはとても嬉しい事。


意味のない生は死と同じ。


誰かに必要とされ、誰かを必要とするからこそ人は生きていけるのだと思う。


私には羽鳥さんが必要だった。


辛い時は私の傍にいて慰めてくれた。


嬉しい時も傍にいて一緒に喜んでくれた。


いつだって彼は優しさを、温もりを与えてくれた。


羽鳥さんとの思い出はどれもこれも全てが愛しい。


もう逢う事が出来ないけれど、出会わなければ良かったなんて思わない。


幸せは私の心の中に在り続けるから――。


衝撃が体中に走る。これで最後だと理解した。


不思議と痛みはない。


心と身体が別物の様な感覚がした。


意識が途切れる最後の最後まで彼の事を思う。



羽鳥さん。私はあなたと出会えて本当に良かった――。



終幕



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