『仰せのままに、お嬢様』《完》
「……むっ、ムリぃっ……!」


泣きそうな声をあげる
あたしを、パパだけじゃなく
ママも『頑張れ!』という
顔で見てた。


そうか、やっとわかった。
さっきママが何か言ってた
のはこのことだったんだ。

つまりあたしに内緒で、
パパとママで勝手に
決めてたってこと。


(ひ、ひどいよぉっ~っ)


今朝目覚めた時には、
白に染まった庭を見て
『いいことがあるかも』
なんて思ったのに。

いいことどころか、逆に
とんでもない嫌なことが
待ってた。

もしかして雪は、凶兆だった?


「……………っ!」


ママからパパへ視線を移した
時に、ふと男の人――
楓……さんと目が合う。


_
< 23 / 364 >

この作品をシェア

pagetop