『仰せのままに、お嬢様』《完》
「そういえばリリカちゃんが
小2か小3の時にも、
お屋敷の近くで怪しい男に
話しけられたことがあったね。

あの時は、ちょうど通り
掛かった僕が気づいて、
事なきを得たけど」


「うん。小2の時だね」


「苦労が尽きないね。

と言っても、もう片方の
問題の方は、すっかり
解決したみたいだけど」


急におどけた声になった
幹生君に、あたしは
キョトンとして問い返す。


「もう片方? ……って、何?」


『遼人さんの縁談の話?』
と尋ねたけど、幹生君は
首を横に振って、


「それもあるけど、元々の
発端の方。

楓さんだよ」


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