狼様の愛のカタチ理論




い、いいかな?


「…あの」


クン?と目を開いて頭をかしげる狼



「あのね…」













「少しだけ、触っていい?」



首をかしげて言うと、あからさまに嫌な顔をして一歩後ろに下がる


「あ、お願い!少しだけ、ね?」


動物を触りたい衝動を押さえるなんて、無理


「お願い、狼さん!」


手を合わせて狼さんに近寄ると、チラと私をみて落胆したように頷いてくれる


「いいの?」


本当に?う、嬉しい!


「ありがとう!」



狼に触れるなんて、滅多に出来る体験じゃない。だから嬉しいすぎる


胸がドキドキして、私がゆっくりと手をのばして狼さんの頭にふれると、柔らかい感触が私を襲う


うわっ、や、柔らかい



「あは…は、可愛いっ」


自然と出てくる笑みを押さえられなくて、笑ってしまう


この狼が神様だとは分かっていても、やっぱり動物は癒される


「気持ちいいっ」



胸がなんだかくすぐったくて、笑う私を狼さんは見たままペロッと撫でていない手を軽く舐める



「……えっ」












その瞬間、不思議な感覚に襲われる




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