狼様の愛のカタチ理論

逃亡者

私が花嫁になるきっかけを作ったトラ達



あの時は確か、扇李が追い払ってくれて助かったけど、今のトラ達は隙があれば今にも飛び掛かりそうだ



「…右汰っ」


「なんだ」

「に、逃げよう！」


このままここにいたら、今度こそ噛み殺されてもおかしくない


それなら、早く逃げたほうが良いに決まってる





「ねっ」


服を引っ張り、強引に連れて行こうとするとそれを制すように私の腕を引き離す


「…？」

「ばか、俺達が逃げたって追い付かれる。俺だけならまだしも…お前がいるなら尚更だ」


「そ、そうかもしれないけどっ」


それでも、ここにいたら危ないのは確実だ


「いいから、お前は黙ってそこにいろ」


「…っ」


私を突き放し、数歩前に右汰がでると少し強い風が吹き抜け、一瞬にして右汰の雰囲気が変わる



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