狼様の愛のカタチ理論





「帰りたい…っ」


院長様に、会いたい。みんなに、会いたい…の、に…


ドサッと膝から地面に崩れ落ちる



なんで…帰れない…の?


「院長様っ」



ギュと爪が食い込むくらい手に力が入る


私一人じゃ…なにも出来ないよ…


院長様…みんな、ごめんなさい



「グズ…っ」


帰りたい…帰りたい


馬鹿みたいに、ただもう"帰りたい"そんな言葉しか言えなくて…



「帰りたい…よ…っ」



涙ながらに、やっと出る声でそう言うと…











「沙優様…」

「………………」


「…っ」




私の名前を呼ぶ声に振り向くと、そこには傘を片手にさす、右汰と左汰がいた―…








「右汰…左汰っ」


「沙優様、風邪をひいてしまいます。宮殿に戻りましょう」


「…っ」


宮殿、に?


左汰の言葉に私は必死首を横にふる



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