放課後は、秘密の時間…
第十章 落涙
「――ごめんね、遅くまで手伝わせちゃって」
「全然。先生一人でやってたら、何時に終わるかわかんねぇって」
謝るあたしに、市川君がにこっと微笑む。
――放課後……
谷村先生の頼みで、美術室と倉庫の備品整理をすることになったあたし。
一人じゃ大変だってことで、市川君や他クラスの美術係の生徒も手伝ってくれてたんだけど……
これがものすごい量で、全部終わるのに、放課後どころか夜までかかってしまったんだ。
さすがにそこまで手伝わせるのも気がひけて、生徒達は早めに帰したんだけど……
市川君だけは、最後まで残って手伝ってくれた。
そんな優しさに、あたしの胸はいちいちぎゅっと苦しくなってしまう。
こんな気持ち、許されないのに……
玄関で靴を履き替えた市川君が、外を見つめて呟いた。
「あ、雨降ってんじゃん」
「ほんとだ……」
朝はあんなに晴れていたのに、今は暗闇の中に糸のような雨が降り続いてる。
困ったなぁ……
あたし、今日は傘を持ってきてないのに。
バス停までは結構な距離があるし、この雨の中、傘も差さないで帰ったら絶対に風邪をひいちゃう。
「先生?帰らないの?」
「全然。先生一人でやってたら、何時に終わるかわかんねぇって」
謝るあたしに、市川君がにこっと微笑む。
――放課後……
谷村先生の頼みで、美術室と倉庫の備品整理をすることになったあたし。
一人じゃ大変だってことで、市川君や他クラスの美術係の生徒も手伝ってくれてたんだけど……
これがものすごい量で、全部終わるのに、放課後どころか夜までかかってしまったんだ。
さすがにそこまで手伝わせるのも気がひけて、生徒達は早めに帰したんだけど……
市川君だけは、最後まで残って手伝ってくれた。
そんな優しさに、あたしの胸はいちいちぎゅっと苦しくなってしまう。
こんな気持ち、許されないのに……
玄関で靴を履き替えた市川君が、外を見つめて呟いた。
「あ、雨降ってんじゃん」
「ほんとだ……」
朝はあんなに晴れていたのに、今は暗闇の中に糸のような雨が降り続いてる。
困ったなぁ……
あたし、今日は傘を持ってきてないのに。
バス停までは結構な距離があるし、この雨の中、傘も差さないで帰ったら絶対に風邪をひいちゃう。
「先生?帰らないの?」