放課後は、秘密の時間…
「どうしよう……」


情けない声……

あたしって、何でいつもこうなの?


上手くかわせないっていうか、押されると、そのまま何も言えなくなっちゃって。

面倒な仕事とかも押し付けられることが多いし。


それでも、大也がそばにいて助けてくれてたから、なんとかやってこれた。

だけど、今はあたし一人。



これから、市川君とどうやって接していけばいいんだろう……


ふっと蘇った、涙を拭った市川君の唇の感触。

同時に、心臓がドクンと音を立てる。


何、今の……

あたし……なんで、ときめいてるの?


違う違う、ときめいてなんかない!


あんな、無理やりキスしてくるようなヤツになんか……


「――キスっ!!」


忘れてた!

あたし、大也以外の人と二回も――……


「大也、ごめん。ごめんね……」


こんなとこで謝ったって、意味なんかないのに。

届かないってわかってたけど、それでももう一度だけ、あたしは繰り返した。


「大也……ごめんね……」

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