放課後は、秘密の時間…
確かに……


市川君達とばったり会っちゃってから、あたし、ずっとそっちの方ばっかり気にしてた。

きっと大也の目には、そんなあたしは元気がないみたいに映ったんだろうな……


「あかり?」

「……ほんと言うとね、ちょっと実習のことで悩んでたんだ」

「え?――それって、」

「でも、もう大丈夫!今日大也に会えて、元気出たから」


市川君とのこと。

大也にだけは、言えないよ……


だけど、明日からまた頑張れる。

今日、いっぱい元気をもらったから。


「全部終わったら、旅行楽しもうね!」


もう一度、握った手に力を込めると、大也も頷いてくれた。


「俺もそれを楽しみに頑張るよ。あかりも頑張れ」

「うん!」


そう、きっと大丈夫だよ。


終わったら、大也との楽しい旅行が待ってる。

そんなご褒美があるのに、頑張れないはずない。


手を繋ぎながら、帰り道、そんなことを考えていた。


……だけど。

この先に、あんなことが待ち受けているなんて――


幸せな気分に浸っていたあたしには、わかるはずもなかった。

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