放課後は、秘密の時間…
放課後の美術室。


グラウンドで練習してるサッカー部の生徒達を窓から眺めながら、あたしはため息を一つこぼした。


今日中に片付けなきゃいけない仕事が山積みなのに、さっきからちっとも進まない。


窓の向こう側からは、元気な掛け声が聞こえてくる。

校内の中でも奥の方にある静かな美術室には、そんな、部活に打ち込む生徒達の声がよく響いた。


「みんな頑張ってるなぁ……」


あたしも、みんなみたいに頑張らなきゃ。


「よし。とりあえず、この書類を終わらせよ!」


自分に言い聞かせて、パソコンのキーを叩こうとしたとき、


コンコン……


美術室の戸が、丁寧に二回ノックされた。


「はーい、開いてますよ~」


こんな放課後に、誰だろ?


声をかけたのに、戸の向こう側に立ってる生徒は、いつまで経っても室内に入ってこようとしない。


あれ?

今確かに、ノックしたよね?


「開いてるから、どうぞ入って?」


もう一度言うと、渋い音を響かせて引き戸が開いた。


現れたのは――……

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