放課後は、秘密の時間…
そんな日々が続いて、実習が三週間目に突入した頃。

授業にも慣れて、教師っていう仕事が楽しいと思え始めたときに、それは起こった。



いつも通り、生徒の絵を回りながら見ていたあたしに、


「二宮先生、オレのも見てくれませんか?」


声をかけた、一人の男子生徒。


そばに寄って、あたしが彼の絵を見ていると……

次の瞬間、信じられない言葉が飛び出した。


「先生、オレ知ってるんだ」

「え?」

「この前さぁ、あんな狭いロッカーで、何してたの?」

「……ぇ……」


心臓が、ドクン……と音を立てた。


ロッカーなんて言われて、思い浮かぶのは一つしかない。

市川君と以前隠れたことがある、美術室にある掃除用具のロッカーだけ。


でも、まさか……

それをこの生徒が知ってるはずない。


「……何の、ことですか?」

「とぼけないでよ、二宮先生」


あたしの耳に、顔を近づけて彼がささやく。


「一緒に隠れてたやつのこと、オレ知ってるよ。なんならここで言ってやってもいい」

「なっ……」

「そいつの名前は――」

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