それでも愛してる・・・

★決意の先 From誠也

家に帰ると、疲れと罪悪感と後悔が一気に押し寄せた。

実は勝手に一人で帰ってきてしまった。

切れた唇は血が固まっている。



佐奈と離れて、しばらく経ってから、何故か雅樹が俺のとこに来た。

しかも亮と一緒に。

亮と俺は従兄弟だ。

だからさっき呼んだ。

なのに何で雅樹まで…?

「どーしたんだよ雅樹?亮といつのまに知り合いになったんだ?」

しかし雅樹は答えない。

そして亮は俺を見て唖然としている。

雅樹は下を向いたまま俺のすぐ近くに来た。

何だか雰囲気がおかしい。

「雅樹?」

そう雅樹を呼んだ時だった。

バキィッ!

左頬に走る痛み。

そして口からは血。

殴られたと理解するのに、少し時間がかかった。

「いきなり何すんだよ!」

雅樹に怒鳴ると、雅樹はやっと顔を上げた。

その表情は怒りに満ちていた。

思わず息を飲む。

「テメェこそ何してんだよ」

雅樹は俺のTシャツの襟元を掴んだ。

さっき着替えてよかった。

って、そうじゃねぇ!

雅樹はまた俺を殴った。

俺も殴り返す。

雅樹は後ろに倒れ込んだ。

しかしすぐ立ち上がる。

「ふざけんじゃねぇよ…」

「理由言えよ!いきなり殴ってくんな!」

俺には理由がわからなかった。

すると雅樹は更にキレた。

「ふざけんな!お前のせいで、佐奈がどんだけ苦しんだと思ってんだ!?賭けただと?誰とだよ!」

雅樹はまた俺を殴る。

賭けたなんて嘘なんだから、賭けた人なんている訳がない。

「誰と賭けたんだよ!テメェの考えてることなんてすぐ分かるんだよ!!何で好きなのに佐奈を突き放した!!何で愛美ちゃんと付き合った!!!!」

そしてまた殴ろうとする。
その拳を今回は避けて捕まえた。

すると雅樹は力が抜けたように、その場に崩れ落ちた。

「ごめんな雅樹……。俺は佐奈が好きだ…」
< 33 / 121 >

この作品をシェア

pagetop