私の好きな人-ハツコイ-
「ふーん…考え事ねえ。」
何か察したように見てくる。
その顔は不気味に笑ってた。

「な…何よ。考え事しちゃ悪いの?」
嫌みっぽく睨みながら返事をすると夏美が、私の方に身を寄せてきた…。

そして耳元で私にしか
聞こえないように囁く。

「考え事って、宮田の事?」

「…え、」
(みっ…み、宮田…君?)
自分でもわかる。
きっと今凄く顔が赤い事くらい。
名前聞いただけで顔が赤くなる…。

「なーんだ、当たりか。」
夏美はつまらなそうな顔をしてるけど目は笑ってる。

そんな顔を見てたら急に恥ずかしくなって、ごまかすように言い返す。

「べっ…別に…」
(好きなんかじゃ!!)
次の言葉を発しようとした瞬間。
もの凄い音が教卓の方から聞こえてきた。

二人して、恐る恐る振り返ると先生が顔を歪ませて私達に言ってきた。

「倉田と藤崎。」

倉田ってのは夏美の事。
私が藤崎。

「「はっ…はい。」」
聞いた事のない怖い声で先生が喋るからつい身構えしてしまった。

「先生はな、この暑い中お前達のためにわざわざ学校に来たんだぞ。」

「「…はい。」」

「私語は慎め。」

そう言い残し先生は再び授業を再開する。

(絶対聞こえてた…。私が宮田君の事好きなの先生にもばれた…。)

恥ずかしいような、情けないような、わけがわからない気持ちで私は教卓の方に身体を戻す。

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