思い出はあなたの中に
その日オレは中学の同窓会に参加していた。

「藤沢ー。お前彼女できたんだろ?」

にやにやしながら近付いてきたのは、中学時代の友人マコトだった。

「なんだよ。羨ましいのか」

正確にはまだ彼女ではないが。

「クールだねえ。モテる男は違うねえ」

完全にできあがっているなこいつ。

絡み方が、下品なおやじだ。

それだけオレ達が年をとったということか。

周りでは中学の思い出話が始まっていた。

それを聞いているうちにオレは、なんだか無性にヒトミに会いたくなった。

午後9時を回ったところか。

今呼び出すのは少し非常識かもしれない。

明日にするか、電話をかけて声だけでも聞くか、どちらにしようか迷っている時ちょうど携帯がなった。

「藤沢。あのさぁ」

マコトが何か言っていたが、オレはそれを無視して店を飛び出した。

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