たった一人の親友へ〜another story〜
病室を出ると


ソファに一人座った義父がいた


その横にどかって座る俺


「翔君・・・。」


「俺さ
あんたのこと今も好きじゃないよ。
でも
母さんの選んだ人だから
母さんはお前のこと好きみたいだから
俺も好きになる努力をするよ。
それが母さんの幸せなら。
俺は何だってする。」


長い沈黙だった


「君はお母さんのこと本当に愛してるんだね。
でも僕も君と同じくらい早苗さんのことが大切なんだ。
君も僕もお互いに少々誤解があるみたいだ。
また最初からやり直せるかな?
翔君」


「うん。」


「それじゃぁ仲直りの印。」


そう言って義父は俺に向かって腕を突き出し


「握手」


そう言ってにっこりと笑った


俺もそれに答えるかのように、彼の手をぎゅっと握り


仲直りの印とやらをした





俺と義父の誤解


きっと簡単には解けないけれど


努力するよ


きっとあいつは俺が思ったより悪いやつじゃなさそうだから


案外難しく考えることもないのかもしれない




そんなことを考えながら


俺はまた病室へと戻った

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