たった一人の親友へ〜another story〜
三日後


何も変わらない日


けんたがいて


和歌子がいて


さながいる


でも


たった一つ違うのは


俺の隣に


愛子はもういない




どうしても許せなかった


俺じゃなく


さなに言ったことが


“ごめん。別れよう”


そう愛子に告げた


愛子は泣き叫ぶことも


怒ることもなく


ただ笑顔でこう言ったんだ


“翔はさなちゃんのことが本当に大事なんだね…
その気持ちちょっとでもいいから、あたし欲しかったな。”




泣き叫ばれた方がましだった


殴られた方がましだった


俺は紛れも無く彼女を傷付けたんだ


俺の身勝手な理由で


今もあの痛々しい笑顔を忘れることはできない




俺はいつもそうだ


大事な何かを取り戻す代わりに


何かを失う


そういうふうにしか


生きていけないから
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