たった一人の親友へ〜another story〜
泣いているさなの手を引きながら


俺達は近くの公園へと向かった


俺の手をぎゅっと握り返している彼女が


愛しくて


この手を離したくない


そう強く思った


その日は暖かい缶コーヒーを二人で飲みながら


朝まで色んなことを話した





この間何度も


告白するチャンスだって


ましてやキスをすることだってできたのかもしれない


弱っている彼女に付け込んで


俺が望むようにもできたのかもしれない


でも俺はその日


“一生友達でいよう”とさなに告げた




弱い俺がささやいたから


“無駄だ”と


“そんなことしても無駄だよ”と
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