たった一人の親友へ〜another story〜
彼女の気持ち
高校入学を間近に控えた日


数ヶ月前さなの妹が倒れた


あの日から毎日のように病院に通っているさなは


この数週間で少しやせた




「友香が一番辛いんだから」




そう言ってさなは


一向によくならない妹の症状を、決して責めたりはしなかった


何があっても気丈に振る舞うさなは


そうでもしないと心が折れちゃいそうだから


そう言って笑った






でもさ当然のようにそんな日は来るわけで


あんな痩せっぽっちの身体で全部支えきるなんて、最初から無理だったんだよ




それを知ることになるのは


ある日の一本の電話


電話越しに聞こえるのは


泣き腫らして


しゃくりあげている


さなの声だった
< 79 / 220 >

この作品をシェア

pagetop