たった一人の親友へ〜another story〜
言葉が頭を通過する


「翔に来てほしくて、電話したんだよ?」




それは友達として?だなんて


そんなこと聞くまでもなかった


彼女の目は真剣に


俺の目を捕らえていたから




「だから来ただろ?」




本当はまじで心臓がおかしくなりそうで


そんなに暑くもないのに顔がほてって


苦しいくらいに息がつまりそうだった




「うん。だから…」


「帰ろう」


思わずさなの言葉を遮った


さなが俺を見つめる



「傷の手当てとか早くしなくちゃだろ?」


さなは俺を見てすべてを悟ったように


小さく消え入りそうな声で「うん」とだけ答えた






その日を境に


俺はさなを傷つけるような行動ばかりとってしまうようになる


優しくして


大事にして


彼女が出来ても愛を注いで


抱きしめて


どこにもいかないように


俺だけに


俺だけのために


さなの愛情を縛り付けた
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