たった一人の親友へ〜another story〜
「翔何かあった?」


抱き合った後にゆいがぼそっとつぶやいた


最近ゆいが事務所に来るときは


ろくに会話もせず、すぐにベッドへ向かっていた


それが俺にとって唯一の穏やかな時であり


さなを忘れられる瞬間だった


「翔、あたしのこと好き?」


「何だよ?今更」


「別に。ただ最近ろくに話もしてないなぁって思って。」


「そう?」


「うん。」


少し沈黙があった後ゆいはぽつりと言葉を漏らした


「ねぇ。翔。
あたしは翔になにがあっても翔の傍にいるからね。」


「何だよ。それ(笑)」


「ん?
翔が元気ないときに傍にいることだけが、あたしのできる唯一のことだからさ。」


そう言ってふっと笑ったゆいの目は


少し潤んでいた




俺はどうしてこんなにも学習能力がないんだろう


さなを傷つけ


今度はゆいまで傷つけようとしている


ゆいのことが本当に好きなのに


愛しくて守ってあげたいのに


どうして俺は違う誰かのことを考えてしまうんだろう




区切りをつける時が来た気がした


この想いの終着点はまだ見えないけれど


だけど俺にはしなくちゃならないことがある


ゆいのためにも


さなのためにも


そして


俺自身のためにも
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