−流星−
第六章
「恵子さん、妊娠したらしいよ」

「…???」

貴士の言葉は続く。

「あいつ大事そうに、エコー?っての?写真手帳に挟んでた」

何て言葉を返したらイイか分からなかった。

なーんだ。
私と連絡取りながらもやる事やってんじゃん…。

言いようの無い気持ちが込み上げてきた。

怒り?
悔しさ?
悲しみ?
戸惑い?

写真を見ながら微笑むマサの顔が思い浮かぶようだった。

「恵子さんは産むつもりなんだよね?」

やっとの思いで出した言葉がそれだった。

「恵子さんは産みたいみたい。けど親がかなり反対してるみたいで大変らしいよ」

恵子さんはちょっとイイ所のお嬢さん。
ピアノが上手で将来ピアニストになりたいらしい。
親も期待してるらしく、当然妊娠なんてましてや出産なんて簡単に許してくれるとは思えなかった。


マサはどうするんだろう?


未だに私と連絡を取るマサの本心が知りたくなった。

< 18 / 30 >

この作品をシェア

pagetop