−流星−
「俺は産んで欲しいと思ってる−」

答えは分かっていた。
子供を好きなマサが中絶してくれと言うはずがなかった。

「けど…恵子は産みたくないらしい。向こうの親もかなり反対してるし。」

「???」

恵子さんは産みたいんじゃなかったのか?

マサの言葉は続く。

「多分下ろす事になると思う…。仕方ないよな…」

「何弱気な事言ってんの!!恵子さんだって本当は産みたいんじゃないの?沢山不安だろうし、今マサが支えてあげないで、誰が味方になってあげるの?!恵子さんの事大事にしてあげなきゃ!!!」

馬鹿だ。
何後押ししてるんだか。
けど、切なそうなマサの声をどうしても救って背中を押してあげたかった。

「そうだよな…俺が守ってあげないといかんよな」

「そうだよ!マサなら大丈夫!」

「ありがとう。」


そして、少しの間の後、

「…ゴメンな。」



電話の後も
「…ゴメンな。」
の言葉が耳から離れず、眠れぬ夜を過ごした。

部屋から見える星が微かに揺れたように見えたのは、流すのを我慢していた涙のせいだったのだろうか。

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