悲しき 極道

アディオス!!

早いもんで、
もぉ小学三年生の夏休みや。



…まぁワシは、
学校行ってへんさかい、ズッと休みやけどな…



8月入ってスグの朝、
いつもの様に、呼ばれてもない
ラジオ体操に出かけた。


その帰り道、知らんオッサンに呼び止められた。


 「…誰?」

 「シュリ君やね!?」

ワシの感が、
警察と出た!


…逃げろ!!


ワシは走った。

…つもりが、コケてもた…
あっさり御用…



捕まったが、
そのオッサンは警察やなく、
学校の先生やった。

それも、転校の時に会った先生やったわ。

安心した…



色々と話されてから、
取りあえず先生の家に連れて行かれた。


そこには、
先生の嫁ハンがおった。

ワシを見るなり、泣き始めた…

…親でもないのに…


やっと保護出来たから、
嬉しくて泣いたらしぃ。



ワシのためにと、
作ってくれたサンドイッチ。

今でも忘れんほど、美味かった!



先生の家には、
ワシの写真があった。

転校した時の証明写真や。


先生ら夫婦は、
この2年以上も
ずーっとワシを探してたらしぃ…

毎日毎日。


ワシ、色々と先生らの話聞いてる内に、涙が出てきた(泣)

多分、鼻水も…


転校してきた次の日からいきなりこやんし、
家出してるしで、
ほっとかれへんかったらしぃ。


ワシ、この人らの子供に産まれたかった…


ホンマにそぉ思たわ。



先生らは、
しばらく泊まれって言うてくれた。

せやけど、ワシには待ってくれとる犬がおる!


その事言うたら、
連れておいでって言われた。

結局、3匹ともお邪魔する事になった。



多分、3日位泊まったと思うわ。

色々な話して、
施設に行く事にした。

孤独とは、オサラバや。


シロたちは、先生夫婦が育ててくれる。

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