悲しき 極道

児相名物

ここに来て1ヶ月がすぎた。

ワシも古株になってきたな。


児相がある場所は、
昭和初期
病院やったらしく、
よぉオバケの話聞く。

ワシは霊を信じやんさかい、
相手にしてなかった。


二階の教室やけど、
夜中の1時に必ず泣き声がするらしぃ。

よぉ誰かが聞くみたいや…



ワシはその日、
腹が痛くて寝れんかった。

丁度、時計の針が1時前。

信じてないけど、やっぱり怖いわな…

 「…もぉ限界や…」

ワシは腹が痛すぎて、
トイレに行く事にしたけど

せやけど怖い…


しゃーないから、
寝小便タレを連れて行く事にした。

 「…おい、
  トイレの時間やぞ〜」

いつも先生がしてる様に起こした。

そいつは、
スーッと起き上がって
トイレに向かってくれた。


 「…ちょっとワシも
  ついでにクソするさかい
  待っててや…」

作戦成功や。


ワシは急いで便器にしゃがんだ。


 「まだ〜?」

 「…まだ…」

ちょっと位、待っとけや!
と、思いながらキバってたら
かすかに声がした。


 「…何…?」

 「…何も言うてないよ〜」


…このダボ!

ワシをビビらす気やな!!
後でドツいたる!!


 んッ?!
また聞こえたどー…



 「…なんやねん!」

 「…僕じゃない…」

そいつの声が震えとる…
ワシはケツ拭きもそこそこに、
急いで出た!

寝小便タレが真っ青な顔して
結局、小便もらしとる…

寝小便タレはトイレの入り口におるから、
声がどこからしたか分かっとる。

 「…二階か…?」

寝小便タレは何回もうなずきよった。
首が落ちるかも知れん位…

ヤバい…


せやけどオバケの声やない…

オバケの声もしらんがな…


ワシは、そーっと階段を上がった。

寝小便タレもついてきよった。


教室には人影がないのに、奇妙な声はかすかにする…
やっぱりオバケか…?!


ワシは扉を少し開けて見た。


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