悲しき 極道

結局
行くあてないさかい、
ハマん家に向かった。




相変わらず
ハマは鬼パチで、
出迎えてくれた。


部屋はシンナー臭い…



取り敢えず
あるモン喰うた。



なんでか知らんが、
いつもハマん家には
三十センチくらいある、
カメの形した
パンがあった。



未だに何でかは
分からん…




ゲンと高山とノブは、
オキシドールとカミソリを
仕入れに行きよった。



その間、
ハマは嬉しそぉに
こない言いよった。


「オレな、

彼女出来て〜

出来たら見たい!
って言うとったやろ?

紹介するわ〜」

「マジで!?

ハマに彼女!?」

「う〜ん〜♪」


…マジでぇ?
…ハマに…?!


ワシは、
心から喜んだ。



相手がサルとかブタやなく、
人間の彼女が出来たなら
それでえぇ!


今まで付き合った事なく、
女からは
「キモチ悪い」
としか
言われへんかった
ハマちゃん。


なんか自分の事のよぉに
嬉しかった!!



「いつから
付き合ったんや?」

「三日前〜♪」

「そぉかそぉか!

大切にしたれよ!!」

「ありがと〜」



まだ顔は見てないが、
想像はつく。


お世辞でも、
可愛いとは言えんやろ。

せやけど、えぇ。


良かった〜





その日は、
ゲンらが調達してきた
食いもんで、
軽いパーティーした。


鬼パチに
真っキンキンの
ハゲばっかで。





うとうとしかけてたら、
入り口を叩く音がした。


誰やねん、
こんな時間に…


みんなは寝とる。

しゃーないさかい
ワシが出た。

「誰〜?」

「ごぉ〜ぐ〜…」


…なんでここに…

ゼットンや…



ワシは急いで扉あけた。

案の定、
ゼットンが
ニコニコしながら
立ってた。
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